心不全の治療法

心不全の薬物療法は?

心不全でも、治療の基本は薬物療法(薬による治療)です。息切れなどの症状を改善し、毎日の生活を楽しむために、利尿薬が用いられます。心不全になると体に水分とナトリウムが溜まって血液のうっ滞が起こり、息切れやむくみといった症状が現れます。利尿薬は体に溜まった水分やナトリウムを尿に出すことによって、うっ血を改善し、心不全の症状を軽くします。高齢者に多い「収縮不全」がある場合は、アンジオテンシン変換酵素(ACE)阻害薬や、交感神経の緊張を抑えるベータ(β)遮断薬、アルドステロン拮抗薬を用います。これらは、大規模臨床試験によって収縮不全の患者さんの寿命を延ばすことが知られています。
一方、他の病気の治療に使われる薬が、心不全を悪化させることがあります。鎮痛剤や消炎剤の多くは体に水分が溜まりやすくなり、一部の不整脈の薬やカルシウム拮抗薬などは心臓の働きを弱めます。薬を服用するときは、必ず医師に相談しましょう。

どんな治療法がある?

心不全には薬物療法の他にも外科手術など、原因となる病気や重症度に合わせた、さまざまな治療法があります。

  • ・経皮的冠動脈インターベンション(PCI)

    脚の付け根や腕、手首などの血管から、カテーテルという医療用の細く柔らかいチューブを差し込んで、冠動脈の狭くなった部分を治療する方法です。

  • ・冠動脈バイパス術(CABG)

    胸を開いて、詰まった冠動脈の先に迂回路(バイパス)をつくる手術です。体の別の部分から取り出した血管を、針と糸を使って縫い合わせていきます。

  • ・僧帽弁置換術

    心臓を切開して弁の機能を回復させる開心術です。患者さんの悪くなった弁を取り除き、生体弁もしくは機械弁に取り換えます。

  • ・左室形成術

    拡大した左心室内腔を小さくすることで、左心室の収縮力や全身へ血液を送る力の低下を抑え、改善させる手術です。

  • ・心臓再同期療法(CRT)

    心臓内の収縮のタイミングのズレをペースメーカ等で補正することで、正常に近いポンプ機能をとり戻す治療法です。

標準治療で効果不十分の場合は?

重症化した心不全の治療には、心臓移植か補助人工心臓の植え込みしか手立てがありませんでした。しかし2016年、細胞シートを用いた心筋シート術が登場し、心不全治療のイノベーションが期待されています。

テルモ・心不全ダイヤル フリーダイヤル 0120-07-8103(平日9:00〜17:45受付)
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