心筋シート術とは
どんな治療法?
ご自身の細胞を採取・培養し、細胞シートにして心臓の表面に貼り付ける手術です。
心臓表面に貼り付けた細胞からたくさんの生理活性物質が分泌される結果、新しい血管が生まれたり、心筋の繊維化を抑えたりすると考えられ、心機能の改善、心不全による症状の改善が見込まれます。なお、患者さん自身の細胞をもとにしているので、拒絶反応が起きにくい治療です。
対象となる患者さんは?
標準治療を受けたものの効果が不十分で、「むくみ、息切れ、疲れやすい、体重増加」といった心不全の症状がみられる方が対象です。
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・虚血性心疾患による重症心不全
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・標準治療で効果不十分
経皮的冠動脈インターベンション/冠動脈バイパス手術/僧帽弁置換術/左室形性術/心臓再同期療法 など
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・心不全の状態
NYHA心機能分類:IIIまたはIV度
安静時における左室駆出率(LVEF):35%以下 包括的な収縮期の左室機能に関係する指標のひとつ
治療の進め方は?
患者さん自身の大腿部から筋肉組織を採取し、筋芽細胞を培養し細胞のシートを作り、弱った心臓の箇所にその細胞シートを貼ります(移植します)。
他の再生医療との関係は?
心筋シート術は今のところ自分の筋芽細胞を用いた治療法ですが、iPS細胞やES細胞を用いた研究も進められています。いずれも自分以外の細胞を用いるので、心不全の治療期間の短縮が見込まれます。